面白い本を見つけたので紹介します。


最近の日本にみられるお金をめぐっていとも簡単にだまされてしまう人々をかなりの毒舌で風刺した(もちろん匿名での出版)『ヘッテルとフエーテル』(著者マネー・ヘッタ・チャン著)。


第二話「カネヘルンの笛吹き」が身もだえするほど笑えます。が、内容は深く、考えるほどに笑い話ではないので以下まじめにコメントします。


ヘッテルとフエーテル 本当に残酷なマネー版グリム童話/マネー・ヘッタ・チャン

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マネー・ヘッタチャンのHPへはここ をクリック


上のストーリーは偽名こそ使ってあるものの、誰が読んでも「インディに行こう」(下にリンク貼りました)の勝間和代さんを取り巻くカツマーと呼ばれる一般人賛同者に対する風刺。

勝間さんがこれまで飛ぶ鳥を落とす勢いで世に送り込んできた数々の指南。例えば断る力、インディとしての自立的な人生、NPO活動などに賛同する女性は世の中に多いと思いますが、使い方を誤ると気付いた時には自分は負け組に転落している危険性があるというような内容がおとぎ話に仕立てられています。


まずインディペンデントな女性が付き合うべく相手の条件として下のような厳しい理想が設定されてしまいます。


   ①年収一千万円稼いでいること

   ②インディ的な女性の価値を認められること

   ③共に成長していけるパートナーであること



インディでいこう!/ムギ(勝間 和代)

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(勝間さん曰く、女性の場合には少なくとも年収六百万円をクリアしないと経済的な自立が難しく、また趣味的に仕事していると周りから思われる危険があるということで、自分に稼ぎがないのに一方的に相手にだけ高い理想を求めるということではありません。)


上の基準を高いと思うか低いと思うか個人差はあるとしても、世間一般的な男性の年収が6百万前後ということからして、女性の一般的なサラリーはそれよをさらに下回っている訳で、自分の条件を顧みずに男性にだけ高い理想を求めてしまうという現象が実際には起きてしまっているのかもしれません。


お付き合いする男性の基準を限定してしまうことによって、現実離れした婚活をいくら繰り返したところで厳しい恋愛マーケットから理想のパートナーを見つけるのは難しくなり、上のお話では主人公の女性が気付いた時には自分はおばあさんになり、下のような老後が待っています。


○ 会社では断ってばかりいたのでリストラされて解雇

○ 土日に無理なく勉強しても成果がでず試験には不合格

○ ボランティア活動をしても世界は救われないがNPO活動だけは経済的成功を収める

○ お金を銀行に預けずに投信運用していたら世界的不況でバリュー半減

○ 派手な遊び方から結婚対象とは見てもらえなくなってしまった

○ インディ仲間に成功者と敗者の溝ができてしまう



最近流行りの自己啓発本では、読んで実行すればあたかも皆が勝ち組に転向できる、皆が幸せになれる、というスーパーポジティブな論調があります。けれども女性の社会的躍進をとっても、婚活をとっても、全ては競争社会なわけで、万人に効く特効薬なんてないのです。


そう、良薬口に苦し、なのです。


端的に言うと、頭のいい人なら週末勉強しただけで難関資格試験に合格し、美しい人なら何の苦労もなく上の条件に見合うパートナーを見つけることができるかもしれません。でも、一般人である私たちが身の丈にあったパートナーを探し求める上で、「現実離れした理想」を掲げることのリスクについて、じっくり考えてみる価値はあると思います。というかこの部分を見ないと婚活にひたすら時間と労力を奪われることにもなりかねません。



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